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山野のやや湿ったところ。根出葉は多数つき、長さ7~20cm、幅1.5~4cm、光沢があり、全縁、枯れないで冬を越す。葉の先にときに小苗ができる。根出葉の中心から高さ10~30cmの花茎が立ち、数個の鱗片葉がつく。花茎の頂に3~10花が総状花序につき、横向きに開く。このころ、新葉のロゼットが花茎の基部の横に出る。花被片は6個、濃紫色から淡紅色、稀に白色と変化が多く、倒披針形で長さ10~15mm、下部はしだいに狭くなり、花柄との境が少し膨れる。花が終わっても花被片は緑色になって残る。雄しべは6個、花糸は花被片と同長、葯は黒紫色で狭長楕円形。蒴果が熟すころは花茎が50~60cmに伸びる。蒴果は3つに深くくびれる。種子は線形で両端がとがり、長さ約5mm。和名は〈猩々袴〉の意で、花の色を猩々の赤い顔に、根出葉をその袴にたとえたものといわれるが、その由来ははっきりしない。
早春花を咲かせ、果実・種ををつくるが、夏から秋にかけ、葉先から芽を出し、新しい個体をつくる。有性生殖とクローンの両方で増える。
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