イワミコバイモ

 


イズモコバイモの西限地に当たる桜江町産の個体は、形態、染色体、葉緑体DNA、分布から
ホソバナコバイモとイズモコバイモの自然雑種と考えられ、
2018年、イワミコバイモと新雑種名がつけられました。

実物を見るとホソバナコバイモとの違いがわかるのではと、自生地を訪れましたが、
素人の観察では、花の大差が認められず、
先端部の開出が大きいものを撮影してきました。








論文データによると、
本種の花の形は、ホソバナコバイモは筒状鐘形、イズモコバイモは広鐘形の中間型の狭笠形。
蜜腺の位置はイワミコバイモは基部から2mm、
ホソバナコバイモは基部から1.5mm、イズモコバイモは約3mmとなっていました。




’24.3.14撮影 桜江町(島根県)

 Fritillaria × makotoi Hitoshi.Sato et Naruh.
イワミコバイモ(石見小貝母)/ ユリ科 バイモ属 多年草 / 3月中~4月上 / 島根県・(広島県)
  ホソバナコバイモとイズモコバイモ Fritillaria ayakoana との自然交雑種。花の形態は両親種の中間型で狭笠形になる。花被片の形態と花被片の裏面の蜜腺の位置も両親種の中間型で、花被片は狭長楕円形から狭倒披針形で、蜜腺は花被片基部から2mmの位置から入る。 
 Fritillaria amabilis Koidz. 
ホソバナコバイモ(細花小貝母) / ユリ科 バイモ属 多年草 / 3~5月 / 本(中国地方)~九州
  山地の疎林内、林縁 高さ10~20cm。茎の上部に2枚の葉を対につけ、その先端に3枚の葉が輪生。輪生する葉の方が細く線状。茎の先端に1個の花を下向きにつける。花は茎頂に1個つき、横向きまたは下向きに咲き、細い鐘状筒形、花被片は長さ1.4~2.5cm、網目状の斑紋がほとんどなく、紫色の条線があり、内側に基部近くから上に向かう腺があり基部近くで外側に張り出し、縁に突起がない。葯はクリーム色で、雌しべの花柱は白色まれに淡緑色、密に細突起があり、柱頭は3浅裂する。果実(蒴果)は倒卵形で横向きになり、長さ9~14mm。 
 Fritillaria ayakoana Maruy. et Naruh.
イズモコバイモ(出雲小貝母) / ユリ科 バイモ属 多年草 / 3月中~4月上 / 島根県
以前はホソバナコバイモとされていたが、花が筒状鐘形ではなく広鐘形になること、蜜腺が花弁内面基部より少し上にあることなどから1979年に別種となった。林縁、林内。草丈10~20cmの多年草。葉は茎の上部に対生する2個の葉と輪生する3個の葉がある。花は茎頂に1個、広鐘形で下向きに咲く。花被片の外面に薄い紫褐色の縦線と薄い暗紫色の斑紋があり、花被片内側の基部から4分の1の点から先端に向かう腺体があり、緑色から黄緑色。花色の変異は大きい。雄しべは6個あり、葯は黄白色になり、花糸に微細な突起がある。雌しべの花柱は白色、微細な突起があり、柱頭はほとんど合生するか僅かに3中裂する。果実は蒴果で長さ10~17mm。

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