ツユクサ


                                  ’02.9.8撮影 平戸市(長崎県)

9月、道ばたのツユクサが驚くほど鮮やかな花を咲かせています。
ハートを半分に折ったような苞から顔を出したばかりの花もあります。
よく見ると、花の構造がユニークです。
花弁が3個ですが、2個の花弁が大きく青色、1個は小さくて白色です。
萼は3個で透明です。


↓ ツユクサの雄しべは3種類あります。


                                 ’21.9.15撮影 宇美町(福岡県)

仮雄しべ3個は目を引くためのシベで花粉をだしません。虫へのアピール専門なんです。
仮雄しべの下の雄しべは少し花粉を出します。
蜜を出さない代わりに、えさ的役目を担っているのではと言われています。
花糸が長い2個の雄しべが花粉を多く作り、受粉の中心的役割を担います。
虫がえさを舐めているときに長い雄しべの花粉がお尻につく仕組みになっているようです。



                ’02.9.8撮影 平戸市(長崎県)



                ’02.9.8撮影 平戸市(長崎県)

受粉はなんと3段階、じつに巧妙です。
朝、花を咲かせた時点で、すでに雌しべには花粉がついているそうです。(つぼみ自家受粉)
開花すると、昆虫に他家受粉をしてもらい、昼過ぎ、しぼみ始めると、雄しべが巻き上がり、自家受粉をします。
ツユクサは短命ですが、実に効率のよい方法で子孫を増やしていました。
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 Commelina communis L.
ツユクサ(露草)別名 ボウシバナ / ツユクサ科 ツユクサ属 1年草 / 6~9月 / 日本全土
 草丈30~50cm。茎の下部は地をはってよく分枝し、節から根を出してふえる。葉は互生、卵形披針形で長さ5~8cm、基部は膜質の鞘になる。花は葉腋から出た花軸の先に、2つ折になった苞に包まれる。花は3個の花弁からなり、上2個は大きくて青色、下1個は小さくて白色。花は1個ずつ咲き、半日でしぼむ。花色には色々な変異がある。苞は合着しない。ツユクサの花の色素は水につけると溶けてしまうので、染色に使われた。新芽は食用になる。

ウスイロツユクサ Commelina communis L. f. caeruleopurpurascens Makino /花色の薄い品種
シロバナツユクサ Commelina communis L. f. albiflora Makino/白花の品種
ケツユクサ Commelina communis L. f. ciliata Pennell/苞の先が長く尖り鎌形、苞の外面に長白毛がある品種
オニツユクサ Commelina communis L. f. diabolica (Koidz.) Sugim./葉裏に毛がある品種
ウサギツユクサ Commelina communis L. f. miranda Hiyama/花弁が細長い品種

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